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対談:現代日本の寄生虫症 
〜国際化の時代のなかでその対策を考える〜

東京慈恵会医科大学
寄生虫学教授
大友弘士先生
横浜市立大学
医学部寄生虫学助教授
天野皓昭先生
おおり医院院長
海外邦人医療基金運営委員
大利昌久先生
<司会>
北里大学
医学部寄生虫学教授
伊藤洋一先生


日本人の3%に寄生虫が。寄生虫問題はまだ未解消。
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天 野:
日和見感染症の話題がでましたが、症例はそれほど多くはないものの、「糞線虫症」がありますね。糞線虫症は健康なときにはほとんど症状はありませんが、なんらかのきっかけで発症しますね。私共のところに相談のあった中に、沖縄出身者が、40年以上も経って発症し診断がおくれて死亡された例があります。

大 友:
それに関連して、アメリカ、イギリス、オーストラリア等では、「戦後糞線虫症」が注目されています。
それは映画で有名にな「戦場に架ける橋」の舞台になったタイで捕虜になり、そこの収容所生活中に糞線虫に感染した人達が、あれから50年経った今頃になって発症する例が報告されています。
自分でも忘れた頃に発症する寄生虫症もあるということです。

伊 藤:
ノミとか蚊とか日本国内の外部寄生虫は近年だいぶ減ってきていますが、その他の疥癬とか、シラミとか、ツツガムシとかがぶり返している傾向も見られます。
現に大利先生のいらっしゃる自然がまだ豊かな山北町では森林欲にともなった問題が起こっていますね。

大 利:
なんの因果か、私がいま開業している神奈川県足柄上郡山北町では、風土病として有名な「ツツガムシ病」がかなり流行しておりまして、横浜市の衛生研究所にチェックしていただいておりますが、平成2年だけでも20名という感染者が出ています。
これは東名高速道路沿ってネズミが移動したためではないかと言われていますが、疫学調査も途中でほんとうのところは未だに不明です。
そこで、私の立場から臨床の先生方にぜひ知ってほしいことは、発診性の疾患が出た場合には必ず刺し口を捜していただいて、刺し口があればツツガムシ病の疑いを持っていただきたいということです。
そして、これに感染するとGOT、GPT、LDHなどが上がったり、腎盂腎炎みたいな症状が出たりしますので、単に抗生物質を与えるだけで済ませないでほしいということです。
山北町にはもう1つ「日本紅斑熱」という珍しい病気が2例でていますが、そういうリケッチアによる病気も忘れてほしくないと思います。

大 友:
最近の日本では寄生虫症がなくなったと言われておりますが、その土地、土地に結構、風土病的にしぶとく残っている疾患もあります。また、日本人の3%くらいは未だ何らかの寄生虫をもっていると言われており、1億2千万人の3%ですから、これは相当な数になりますよ(笑い)。
検便だけではわからない寄生虫症も、まだまだたくさんあるわけですから、「寄生虫」の問題は未だ解消していないと思います。蛔虫とか鉤虫とか大した病気にならないものはいいのですが、なかには大変ひどいものもありますから、「寄生虫」の問題は決してないがしろにできませんね。それから社会全般が国際化した中で、日本を一歩出れば「虫」だらけの世界ですから、海外に出る日本人はゆめゆめ寄生虫症の恐ろしさを忘れないこと。
そして、われわれ寄生虫学に関係する医師や医学研究者はもっともっと寄生虫を勉強して、国際貢献しなければならないですね。

伊 藤:
いまここに、大友先生から大変すばらしい最後の「まとめ」をしていただいたところで、きょうの座談会を終わらせていただきます。
有益な数々のお話ありがとうございました。

それでは、この辺で、、、。


代表医:大利 昌久/医療サービススタッフ:サンタンブロージュ


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