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現代医学の寄生虫症
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蚊にさされないことが一番。万一に備え治療薬の携行を
患者さんに対して
ドクター随筆
現代日本の寄生虫症
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アフリカ紀行展
スマトラ沖地震救援
対談:現代日本の寄生虫症
〜国際化の時代のなかでその対策を考える〜
東京慈恵会医科大学
寄生虫学教授
大友弘士先生
横浜市立大学
医学部寄生虫学助教授
天野皓昭先生
おおり医院院長
海外邦人医療基金運営委員
大利昌久先生
<司会>
北里大学
医学部寄生虫学教授
伊藤洋一先生
蚊にさされないことが一番。万一に備え治療薬の携行を 。
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天 野:
日本国内でマラリアの予防薬が正規のルートでは入手できないもの大きな問題です。厚生省も、この辺を何とか改善していただきたいと思います。マラリア予防薬として服用された「ファンシダール」による事件が先日報道されましたが、いまのところ適切なマラリア予防薬がない、というのも現実ですね。
大 友:
マラリアの予防内服には未だ効果と安全性の点で満足できる薬がないのは、大変困ったことですね。
アメリカのCDCは、1980年代の始めにクロロキン耐性熱帯熱マラリア流行地への旅行者には、「ファンシダール」と「クロロキン」の同時内服を推奨しましたが、それから2、3年後の間に、この方法による死亡者がかなり多く出た不幸な事件もあり、WHOのマラリア予防内服の方針が非常にトーンダウンしてしまいましたね。
それで、現在のWHOは薬を飲んで予防するよりも、なるべく蚊にさされない方策をと呼び掛けていますが、とにかく早急に安全性の高い新しい予防策の登場が待たれるわけです。
伊 藤:
私も感染症の基礎調査でケニアに行きましたが、「蚊にさされないように、、、」と言われても、実際は不可能に近いですね(笑い)。
現地の子どもでも年に2回以上はマラリアに感染していますから、日本から海外旅行する人は十分気を付ける必要があると思います。
そこで、ベストでなくてもベターぐらいのところで、その対策をどうしたらよいか、先生方にお聞きしたいのですが、、、。
大 友:
実際には難しくても、やっぱり蚊に刺されない工夫が一番だと思います(笑い)。
夜間外出を避けるとか、夜は蚊帳に入るとか、防虫クリームをつけるという方策がいいと思います。
ただし、そういう地域に行く場合には、WHOも推奨していますが、万一に備えて治療薬を携行すべきだと思います。
そうすれば100%ではないにしても、かなり感染を予防できると思います。
例えばWHOも推奨している抗生物質の「ドキシサイクリング」をマラリア予防に短期間服用してもさほどの問題はおきません。
ただし日焼けしやすい、歯の発達に影響するので子どもには不適当ですが、大人の短期間服用であれば問題が少ないと思います。
天 野:
クロロキン耐性の熱帯熱マラリアの流行しているカンボジアに派遣されたオーストラリアのPKO隊員は、確か「ドキシサイクリング」をマラリア予防薬として使用して成功したと聞いていますが、あれは毎日100mgを服用するのですか?
大 友:
そうです。これは日本でも市販されていますから、入手できますね。
天 野:
アメリカやオーストラリアでは「ドキシサイクリング」を使う場合に「クロロキン」を併用していますが、日本では手に入りませんね。
100%安全なマラリア予防薬はないわけですが、危険地帯に行く人にしてみれば、そういう薬が必要なケースもあるわけですね。
大 友:
安全性が高い点では「パルドリン」ですが、発病抑止の力は弱いですから、単独で使ってもあまり効果が期待できないですね。
クロロキンと併用すれば、効果が増強されますが、クロロキンは現在の日本では市販されておりません。
大 利:
マラリア予防薬の使い方も面白いと思います。
アフリカの西の方では「パルドリン」(フランス製)、東の方では「クロロキン」(ドイツ製)と、植民地時代の伝統でしょうか(笑い)。
天 野:
大友先生のお話に「万一に備えて治療薬を携行すべきだ」とありましたが、日本人には「熱帯や亜熱帯の地域で熱が出たらマラリアを疑う」という発想が無いことも大問題ですね。
日本人は熱が出ると、すぐ「かぜ」と思ってしまうのですね。だから、重要なのはマラリアの流行地に行って熱が出た場合は、一番最初にマラリアを疑うということです。
マラリアのなかでも「三日熱マラリア」や「四日熱マラリア」の場合はまだいいのですが、「熱帯熱マラリア」の場合は3回目ぐらいの熱発作まで(初回の熱発作から5日目まで)に有効な治療を行わないと、生命に直接危険が及びますから、とにかく早急な対応が必要となります。
海外旅行者に熱が出た場合、実際はマラリア感染なのに、帰国してお医者さんに行ったら肝炎やインフルエンザと診断されて手遅れになるケースも多いわけで、その辺は臨床医も患者さん自身も、十分注意しなくてはなりませんね。
・最近の国内マラリア患者発生状況・
年
熱帯熱
3日熱
4日熱
卵型
混合感染
不明
計
届出
1980
29(3)
58
1
1
2
3
94(27)
55
1981
21(1)
54
2
1
2
6
86(24)
41
1982
26(1)
52
5
1
1
3
88(27)
49
1983
17(2)
61
4
2
1
5
90(21)
54
1984
27(1)
54
4
0
0
7
92(20)
69
1985
21
44(1)
2
0
0
4
71(23)
56
1986
27(1)
51
0
3
2
5
88(23)
54
1987
19
45
1
4
2
9
80(16)
45
1988
30
51
1
3
1
1
87(24)
55
1989
37
63
4
0
3
5
112(35)
57
1990
39(1)
62
0
3
5
5
114(26)
55
1991
42(1)
60
3
0
1
3
109(41)
58
1992
26(1)
70
0
3
4
9
112(38)
51
計
361
725
27
21
24
65
1,223(345)
699
%
29.5
59.3
2.2
1.7
2.0
5.3
※大友らの実態調査成績による。
※マラリア種の()は死亡数、計の()は外国人患者数を表わす。
※届出数は厚生省伝染病統計収録患者数。
・帰国して重篤化する病気 ・
1. 熱帯熱マラリア(原虫感染)
2. アメーバ赤痢(原虫感染)
3. アフリカ腹眼病(原虫感染)
4. エキノコッカス病(蠕虫感染)
5. 広東住血線虫(蠕虫感染)
6. 結 核(細菌感染)
7. 狂犬病(ウイルス感染)
8. AIDS(ウイルス感染)
9. 日本脳炎(ウイルス感染)
10. 出国熱(ウイルス感染)
「外務省医務官資料」より
代表医:大利 昌久/医療サービススタッフ:サンタンブロージュ
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