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対談:現代日本の寄生虫症 
〜国際化の時代のなかでその対策を考える〜

東京慈恵会医科大学
寄生虫学教授
大友弘士先生
横浜市立大学
医学部寄生虫学助教授
天野皓昭先生
おおり医院院長
海外邦人医療基金運営委員
大利昌久先生
<司会>
北里大学
医学部寄生虫学教授
伊藤洋一先生

熱帯や亜熱帯の蚊の恐ろしさについて全くの無知
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伊 藤:
大利先生は一時予研で寄生虫学の研究をされ、私も当時ご一緒させていただきましたが、そのあと横浜市立大を経て、外務省医務官となられました。
そしてアフリカその他で7年間ほど活躍され、いまは神奈川県山北町で開業医としてご活躍中です。
そこで大利先生は海外の寄生虫症にも大変お詳しいわけですが、いかがですか。

大 利:
外務省医務官時代は50ケ国以上あるアフリカ大陸をわずか4人の医師でカバーするという極めて大和魂的な仕事をしてきたわけですが(笑い)、現地で死亡した日本人で一番多いのはやはりマラリアでした。
私が3年間いた東アフリカのケニアだけに限っても、若くて将来性とファイトのある青年海外協力隊隊員などの感染が目立ち、死亡例も少なくありませんでした。
当時、私たちが作成した外務省の医務官資料を今日の対談の資料としてもって来たのですが、そこに示されていた「在留日本人のかかりやすい病気」の詳細は下記のとおりでして、上位のかぜ症候群、下痢を症状とする径口感染症(感染性胃腸炎)、皮膚病などに続いて、7番目に問題の「マラリアなどの寄生虫症」があります。
◆在留日本人のかかりやすい病気

1. かぜ症候群(呼吸器感染症を含む)
2. 下痢を症状とする病気(経口感染症を含む)
3. ヒフ病(害虫による刺咬症も含む)
4. 歯科の病気
5. 外傷(交通事故も含む)
6. 精神科領域の病気
7. マラリアなどの寄生虫症
8. 性感染症
9. 肝炎などのウイルス病

「外務省医務官資料」より
私たちがアフリカで特に注意した「ターゲット疾患」は、
ウイルス性肝炎が一番でしたが、感染性胃腸炎に次いで、3番目が原虫性のマラリア、アメーバ症、ジアルジア症など、その他の寄生虫症も続いていました。
そして、感染者が帰国後に重篤化する病気としては
熱帯熱マラリア(原虫感染)がトップで、
その後にアメーバ赤痢(原虫感染)、アフリカ睡眠病(原虫感染)、エキノコッカス症(蠕虫感染)、広東住血線虫(蠕虫感染)などの寄生虫症が続いています。
◆アフリカ諸国でのターゲット疾患

1. ウイルス性肝炎
2. 感染性胃腸炎
3. 原虫性疾患(マラリア、アメーバ症、ジアルジア症)
4. その他の寄生虫病
5. 不安神経症(メンタルヘルス)
6. 成人病

「外務省医務官資料」より
伝染病の少ない国に育った日本人は、海外に長期滞在する場合でも、「日本と全く同じ生活スタイルを現地に持ち込む」わけです。そして、アフリカでお刺身を食べて寄生虫症にかかり、伝染病を媒介する蚊に対して注意を払わないのでマラリアにも当然かかります。
野菜も生で食べますから、肝炎とか感染性胃腸炎にもかかるわけです。

◆在留邦人の日常生活
1刺身を食べる・・・・・・・・寄生虫症
2生野菜を食べる・・・・・・・感染症胃腸炎、肝炎、寄生虫症
3喫煙量が増える・・・・・・・成人病
4飲酒量が増える・・・・・・・成人病
5言葉が不自由である・・・・・ストレス
6現地に対する不信感が強い(含む現地医療)・・ストレス
7若干の食事内容が変化する・・ストレス
8売春行為をする・・・・・・・STD、AIDS

「外務省医務官資料」より
その他にも海外の日本人がかかる病気はいろいろありますが、基本的には「寄生虫症」が非常に多いわけです。ですから、海外に行く日本人はこういう恐ろしい病気があることを肝に命じて、現地での日常生活では環境衛生には十分注意したいものです。
日本では蚊に媒介される疾患が少なくなったせいか慢心し、熱帯や亜熱帯の蚊の恐ろしさについて、全くの無知だといっても過言ではありませんね。そこで、そういう危険な所に行くのであれば、現地の情報をもっとキャッチして、万全の備えで行くべきだと思います。とくにマラリアが問題になりますが、それは「ハマダラカ」が媒介するわけですから、その習性などに精通しておくべきですね。あの蚊は夜間しかヒトを刺しませんから、夜間に防備を固めるだけでも、マラリアの感染を相当防げると思います。


代表医:大利 昌久/医療サービススタッフ:サンタンブロージュ


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