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JOMF NEWS LETTER No.90
(海外邦人医療基金)
2001.7
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ピロリ菌の発見
「ピロリ菌」たらイヤだね。なんで、こんな菌がいるんでしょう。今回は、胃潰瘍や胃癌の原因といわれるピロリ菌の話題をお届けします。
胃液の酸度は、p H1〜2と強酸性なので、胃液の中で生息できる細菌はいないと、長いこと信じられていたのです。しかし、その神話が崩れたのが、1982年のことです。オーストラリアのロイヤル・パース病院の病理学者ワーレンと内科医マーシャルが、初めて胃液の中からラセン状の菌を分離培養することに成功。
このピロリ菌が発見される前にも、胃の中の細菌に関する研究が全くなかったわけではありません。初めてだと思われるのは、100年以上も前、1892年に犬の胃内からラセン状の細菌の存在が報告されています。そして、人の胃癌の胃粘膜からもラセン状の菌が発見。これが恐らくピロリ菌発見の第1号だと考えられます。1906年のことでした。
しかし、皮肉なことに、1954年パルマーが1140例以上の胃癌粘膜吸引生険をおこない、胃内にラセン状の菌は全くみられなかったと報告。パルマ−が、当時の消化器病の権威者だったことから、この報告以来、このラセン状の菌の存在が忘れられていたのです。
再び、胃内のラセン状の菌が注目されたのは、1975年のことです。「ラセン状菌と胃炎」の関連が指摘され始めましたが、細菌培養の技術が不十分だったため、分離培養することが出来なかったようです。1981年、ワーレンとマーシャルは、カンピロバクターに用いる新しいスキローウ培地を用いましたが、不成功。しかし、1982年4月14日、たまたま連休のため恒温室に5日間放置していた培地に、ラセン菌のコロニーが生えているのを見つけたのです。まさに、20世紀末、ノーベル賞級の大発見となりました。当初、カンピロバクター属の菌に分類されたのですが、1989年に別種のヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)と命名。ここに新種の細菌が登場したのです。
ピロリ菌は全世界に分布していますが、ピロリ菌の感染率は、先進国で低く、開発途上国では高率になっています。日本では、20歳代が25%、40歳代では75〜80%が感染していて、開発途上国並みの高さです。今まで分かっている資料では、アルジェリア、ベトナム、タイ、パプアニューギニア、ペルーでは、20歳代で感染率は60%におよぶそうです。
さて、感染経路ですが、「旅行者下痢症」と同じく経口感染が主です。胃内で増殖した菌が、腸管を通過し、糞便と共に排泄されます。これに汚染された飲食物を介して感染する訳です。また、歯垢や唾液からもピロリ菌が証明されるので、人から人(キス感染)でも感染が予想されます。このピロリ菌の感染によって、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌が引き起こされることが分かっています。
代表医:大利 昌久/医療サービススタッフ:サンタンブロージュ
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