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海外で暮らすための健康管理学(4)第2章 予防接種(その3)
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海外で暮らすための健康管理学(4)
大利昌久
前 東京大学医科学研究所感染症内科
現 長崎大学熱帯医学研究所(非常勤講師)
海外邦人医療基金 (顧問)
出典:「神奈川県医師会」(2001年4月号より)
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第2章 予防接種(その3)
1)予防接種の内外事情(前号参照)
2)予防接種の内容(前号参照)
3)予防接種スケジュール(前号参照)
4)予防接種の種類(前号参照)
(1)コレラ(2)三種混合(3)結核(4)ポリオ(5)麻疹、風疹、おたふく
途上国では多くの小児が、麻疹で死亡している。先進国でも小流行の繰り返しがみられる。
●先進国の実情
1歳過ぎにMMRを実施。4〜12歳までに追加接種を行っている。つまり、2回接種である。 シンガポールでは、麻疹ワクチンを初回に実施し、MMRを追加接種する方法をとっている。 MMR の副作用については、ほとんどないという情報である。
●途上国の実情
生後9ヶ月目に麻疹ワクチンを接種する国がほとんど。追加接種をしていない国が多い。
●日本の実情
1989年MMR導入。しかし、副作用として無菌性髄膜炎が高率に発生したため、1993年より中止。日本では1歳で麻疹ワクチンを接種、任意に風疹、おたふく風を接種する方式をとっている。これも、世界で異例のこと。
日本における麻疹、風疹の予防接種率はほぼ70%で、今だに麻疹による死亡、風疹による先天性風疹症候群が散発的にみられる。これで果たして先進国と言えるだろうか。現実に欧米から、感染症輸出国と厳しく非難されている点を強調しておきたい。
(6)A型肝炎
東南アジア、中米、中南米、地中海沿岸が流行地域である。汚染された飲料水や食物により経口感染する。小児では不顕性感染のことが多い。
●先進国の実情
A型肝炎のワクチンの接種は、途上国に行く人にすすめられている。
●途上国の実情
途上国の国々では、代表的な都市の病院で、外国人だけにA型肝炎ワクチン接種が行われている。
●日本本の実情
A型肝炎抗体のない成人では必要。40歳以下の日本人には、ほとんど抗体がない。発展途上国ばかりではなく、米国、西欧でさえ、ごくありふれた病気なので予防接種を済ませておくこと。従来、ガンマグロブリン(ヒト免疫グロブリン)の注射が行われていたが、その効果が2、3ヶ月しかない。滞在期間の少ない人では、ガンマグロブリンでも充分。1995年6月からA型肝炎ワクチンの接種がはじめられ、有効性が認められている。初回接種では、2〜4週間隔で2回、6ヶ月後に1回追加する方法が一般的。2週間隔で2回注射する方式もある。4〜5年の免疫が得られる。
(7)B型肝炎
アジア、アフリカ地域では、 B型肝炎キャリアが多いので、感染の機会が多いにある。特に「性感染」に注意。
●先進国の実情
WHOは、200年までにすべての出生児にワクチン接種の計画を立案。米国では、新生児全員に接種中である。
●途上国の実情
アジア諸国を中心に、B型肝炎ワクチン接種がスタートしている。B型肝炎母子感染が多いためである。
●日本の実情
当初、B型肝炎のe抗原陽性の妊婦から生まれた新生児を対象に、B型肝炎ワクチンを接種。1995年よりB型肝炎キャリア妊娠からの新生児をすべて対象とする方針がとられている。
(8)狂犬病
東アジア、東南アジア、中国、アフリカなどに存在する。タイのバンコクなどでは野犬が横行し危険。日本製の組織培養不活性ワクチンは極めて有効。狂犬病の死亡率が高いので地域によっては必要。しかし、途上国では副作用の強い動物脳由来のワクチンを今だに使用している国もあるので注意が必要。
(9)日本脳炎
豚の多い国、中国、マレーシア、インド、西大西洋などでは常に流行している。夜間、吸血性のアカイエカによって媒介される。すでに予防接種をうけている人は、1回追加、全く受けていない人は、3回接種をする。日本では不活性ワクチンを使用中。
(10)流行性脳脊髄膜炎
アジア、アフリカ、中南米で流行している。危険地域に赴任するにはワクチン接種が必要。但し、日本にはない。輸入ワクチンで対応するか、任地で接種すること。
(11)インフルエンザ
予想される流行株の接種が必要。北半球と南半球では流行時期が違うので注意が必要。
(12)黄熱病
アフリカ、南米の「黄熱病ベルト地帯」に入る時必要。国際保健規制に定められているので「エローカード」がいる。
弱毒性ワクチンの免疫効果は高く、接種後10日目で効力が生じ、10年間持続する。国によっては6ヶ月以上の小児から接種を要求されるが、一般的には1歳以上が接種の対象。
5)外務省医務官実施の予防接種
外務省医務官の鈴木良平先生らが過去16年間(1984年〜1999年)の予防接種実施成績をまとめ「海外長期滞在者に必要な予防接種」を報告した。実際に現地でどんな種類の予防接種が実施されているかの記録であり、極めて貴重な資料であり、多くの問題点が示されている。
表6に予防接種予種類別件数比を示した。
なお、今後の課題として以下のことが指摘されていて、
複数ワクチン同時接種の問題点
日本での未承諾、未発売のワクチン接種の問題点
この問題は、従来から主張している私の意見とも一致する。
参考資料
1)海外医療:海外赴任者のための予防接種、1995年No.6(海外邦人医療基金)
2)鈴木良平、松木孝道、神山昭男、後町洋一:海外長期滞在者に必要な予防接種、2000年No.3989(日本医療新報)
代表医:大利 昌久/医療サービススタッフ:サンタンブロージュ
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