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渡航前の健康診断
精神的・肉体的変調  



母国を離れ、初めての外国、それも発展途上国に赴任すると、 多くの女性が何らかの精神的・肉体的変調を自覚する。

変調の程度は、時間の経過を待てばよい軽い症状から、なんらかの療法が 必要な病的なものまで含まれる。

「思春期」「成熟期」「更年期」「老年期」、
それぞれの世代の問題は次節に記したが、その時期の症状が、海外生活という 一種のストレスで増幅される傾向にある。それは「新しい環境に順応する過程の変化」であるし、「順応できなくてあらわれる不適応の症状」でもある。

また、すでに「明らかな病気」に罹っている場合もある。いずれにしろ、 精神的・肉体的変調であり、多くの女性が経験する。

日常の診察中にきかれた、女性の精神的・肉体的変調を[表]に示した。
表でおわかりのように、「不定愁訴症候群」といわれる症状ばかりである。
深く追及すると、明らかに器質的な疾患も含まれるが、その多くは、心因によるもの(神経症型)、心因及び身体的要因のからみ合い(心身症型)、心因とは無関係 (自律神経失調型)なものと複雑である。いずれにしろ。適応な心理療法や、 薬が必要となる。

その原因は、一般に海外生活の疲れ、気候、環境、習慣の違い、狭い日本人会のトラブルなどである。

気候帯による気温・湿度は、熱帯雨林・サバンナ・ステップ・地中海性気候など 様々であり、赴任先の気候をあらかじめ研究しておくとよい。

日本の気候は、快適であるとは決して言えないが、四季に恵まれ、 長年のなじみでもあるため、それほど苦痛ではない。日本の温帯気候から、 いきなり高温多湿の熱帯・亜熱帯地域に赴任する例が多いので、それなりの覚悟が必要である。

一般に高温多湿の熱帯・亜熱帯地域に赴任する例が多いので、それなりの覚悟が必要である。

一般に高温多湿の環境では発汗が著しい。

大量の発汗によって塩分も同時に失われるため、胃液の分泌も減り、食欲不振に陥る。

東南アジア、インド、中近東、アフリカ、南米の熱帯地に赴任する者は、赴任して数ケ月、発汗に伴う諸症状に悩まされる。汗腺の順応は個人差にもよるが、一般に1〜2ケ月必要なので、その間食欲不振、宇宙遊泳感、意欲減退などに見まわれる。その間は充分な休息が必要であるが赴任直後の時期でもあり、なにかと多忙なので、無理して体調をくずすことが多い。

その典型例が、情緒不安定、思考鈍化、物忘れ、注意散漫となってあらわれる。女性の場合、特にこの症状が強く、すべてに意欲減退となり消沈する傾向にある。

このような症状を「熱帯疲労」という。生理的には、体の熱産生態が落ち、副腎皮質ホルモンの分泌が減る。さらに副交感神経緊張型になり、末梢血管は拡張し、血圧が下がり、筋力が低下することが証明されている。

熱帯地でも、2000メートルを越える高地では、気候条件が著しく異なる。
空気中の酸素は薄く、乾燥している。肌を焼くような暑い昼間の日差しも、 夜中にはグンと冷え込む。これらの気候因子が、特に思春期、更年期では、それぞれの時期の症状が増幅される。例えばめまいがひどくなったり、頭痛がさらに長びいたり、不眠が続き、熟眠感がなく、1日中ボーッとして過ごすなどの悪影響が出る。

気候順化が遅い女性では、皮膚炎、膀胱炎、膣炎などを引き起こしやすい。 特にこのような婦人病の場合、身近に相談できる医師がいないので、症状は長びき、 悪化し、悩み苦しむ人が多い。困ったものである。なかには、頑固な皮膚炎を皮膚癌と信じ込み、神経症に陥った婦人もいたが、適切な医師の説明があれば、なんの問題もなく過ぎたであろう。

熱帯地・亜熱帯地で環境・習慣が違うのは当然である。その違いを早く呑み込み、自分自身を少しずつ変えてゆく必要がある。つまり環境や習慣に適応させることである。一般に女性は、男性よりも適応能力が優れていると思われる。
赴任当初、あまりの環境・習慣の違いにショックを受けるが、すぐに立ち直るのが普通である。

この種のショックから立ち直れない人は、性格的に消極的で神経質な女性である。



表 女性の精神的・肉体的変調
* いらいら
* いろいろの不安
* 何もしたくない
* 不眠
* 熟睡感の欠如
* 身体が宙に浮かんだ感
* 脱力感(船酔い感)
* ためいき
* 疲れやすい
* 目の疲れ、目の痛み
* 顔のほてり、のぼせ
* 耳鳴り
* のどのつかえる感
* 首・肩のこり
* 手足のふるえ
* 手足のしびれ
* 足のむくみ
* 足・腰の冷え
* 動悸
* 息切れ
* 呼吸が苦しい
* 酸欠感
* 胸部圧迫感
* 頭痛・頭重感
* 片頭痛
* めまい
* 冷汗
* ねあせ
* 夜中のおびえ
* 腹部不快感
* はき気
* 食欲不振
* 唾液がたまる
* 月経周期の乱れ
* 出血
* おりもの
* 陰部のかゆみ
* 頻尿
* 残尿感
* にごり尿
* 脱毛
* 微熱


代表医:大利 昌久/医療サービススタッフ:サンタンブロージュ


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