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衣食住の問題
衣・食・住の準備  


大利昌久「外国で暮らすための健康管理学」(毎日新聞社)より

 
「海外赴任者には特別の教育が必要である」という認識が高まっているせいか、最近、あちこちの企業でも、海外赴任者のための衛生講話が開かれている。このような機会を逃さず、積極的に出席することをすすめたい。

なかでも「熱帯病のいろいろ」「熱帯の水の問題」「マラリアの予防対策」「急性肝炎の実情」「家庭常備薬」などの講話はすぐに役立つので、家庭に持ちかえり、家族ぐるみで話し合うようにしたい。

なお、独身女性の場合、家庭婦人と違い、「健全な性」の自覚を高めると同時に、「避妊法」「性病の予防法」などについて、専門の知識が必要である。
過去には、避妊に失敗したり、暴行事件の被害にあったり、性病をもらったり、 そのため精神障害をきたしたりした例があった。そのへんの厳しい実情もふまえ、海外赴任には、それなりの心構えが必要であることを認識しなければならない。

医療対策ばかりでなく、実は「衣・食・住」の問題も身近で重要な検討課題である。
現地の実情に照らし、それなりの準備をすすめる必要がある。その際、正しい情報を得ることが肝心である。

アフリカへの赴任者は、よく衣類の準備に失敗する。アフリカは灼熱の大陸であると錯覚している者が多いためか、夏物だけを準備する傾向にある。地域によっては、冬にオーバーが必要な都市もあるし、高地のため、夕刻に冷え込む都市もあるので、気候に合わせた衣類を準備しなければならない。

下着、靴下類は一般に高価なので、滞在日数に合わせ、余分に持参した方がよい。
婦人用衣類は品質も悪く、品数も少ないので、日本から持っていくこと。
カーディガン、ブラウス、スラックス、コートなども揃えていく方がよい。男性用の長袖ワイシャツ、背広なども余分に持参すること。
日本人会や、その国の公式行事に招待されることもあるので、必ず礼服も準備すること。

医療や難民救済事業に取り組む人は、自分用の予防衣(白衣)を持参すること。現地には、白衣すら充分でない地域もある。

フィールドに出る人は、現地の衣類の方が、むしろ快適な場合もある。ベテランの海外生活体験者は、いろいろの生地とミシンを日本から持参するが、その週間は一つの教訓かもしれない。

なお、傘などもお忘れなく。

家具、電気製品なども、現地で買うと高価であり、品質も良くないので、運賃次第では日本から持参した方がよい。もっとも、任国によっては、通信販売により、ヨーロッパ、アメリカなどから入手可能な品物もある。
鍋類や台所用品も、日本に残しておいても役に立たないので、出来るだけ持参した方がよい。マナ板などは必需品である。食糧事情をよく調べ、米をはじめとし、保存のきく日本食料品をあらかじめ準備することも必要だし、両親や親戚縁者に後送してもらう手配も大事である。

自分たちのことばかりでなく、手土産品のことも考えた方がよい。先に赴任している日本人には食料品、現地人には電卓などの電気製品が人気がある。

このように出発前にはいろいろの準備に忙殺されるが、そのなかで自分に合った健康管理法を会得する心構えが欲しい。


代表医:大利 昌久/医療サービススタッフ:サンタンブロージュ


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