「わたし、KAMANTE GATURAは、彼女の料理人でした。」で始まる珍しい原書を私は持っています。黒人コック、カマンテの日記で、今から約60年前のケニアの世界が見事に描かれていて面白い。
160枚の絵と168枚の写真が当時の黒人の生活ぶりや、植民地時代の白人の世界を物語っていて、生々しい記録となっています。
この本は、"LONGING FOR DARKNESS"という題で、ピーター・ピアードが編集したものです。このカマンテがつかえたという女性が、実は先日、偶然見た映画「愛と哀しみの果て」の女主人公、カレンだったのです。
この映画の原作は、アイザック・ディネーセンというペンネームで、カレンが書いた自伝的小説"OUT OF AFRICA"です。
この映画に登場した黒人少年が、後にカレンのコックになったカマンテです。この映画は、ケニアやタンザニアが植民地時代だった頃のなまなましい記録映画を見る思いでした。
カレンが住んでいたゴングヒルは、私が外務省の医務官時代に住んでいたギタンガロードの借家から、そんなに遠くない丘陵地で、たびたび車で出かけたものでした。
映画の中で、カレンの夫の友人が、寒さに震えながら死亡しました。
BLACK WATER FEVER、つまり「黒水熱」という説明でしたが、これは当時の白人を怯えさせたもっとも危険なマラリアの末期症状でした。
黒水熱の症状は、赤血球が溢血し、尿が黒赤色に色づき、著しい貧血と悪液質で死亡する重篤なものです。
当時、キニーネで治療を行ったマラリア患者に見られたところから、一種のキニーネの対する過敏症という説もあります。
ともあれ、その当時キニーネが最良の坑マラリア剤だったのです。
その後、キニーネに代わる他の坑マラリア剤が登場してから、この黒水熱はほとんど見られなくなりました。