ホーム海外旅行の問題点旅行者下痢症の実情
 海外へ出発する前に
 海外旅行の問題点
 海外赴任者の問題点
 海外で暮らすには
 海外医療の舞台裏
 話題の感染症
 SARSについて
 マラリアは最大の敵
 生物兵器
 特別寄稿読売新聞
 特別寄稿神奈川新聞
 患者さんに対して
 ドクター随筆
 現代日本の寄生虫症
 日本臨床内科医会
 日本渡航医学会NEW
 さえぐさ医院NEW
 アフリカ紀行展
 スマトラ沖地震救援

海外旅行の問題点 
--------------------------------------------------------------
旅行者下痢症の実情


衛生状態の悪い地域に旅行する時、最もかかり易い病気は下痢症です。普段食べなれている食品でも、旅先では原材料の保存法や調理方法の違いにより、下痢することがあります。その原因は多様ですが、まとめて旅行者下痢症travelers'diarrheaと呼ばれています。

旅行者下痢症の頻度、起因菌と原因食品・・・・・・・・・

日本人に限らず、多数の欧米諸国の人達も、東南アジア、インド亜大陸、アフリカや中南米諸国にバカンスの旅に出かけ1週間以内に約35%が旅行者下痢症になる。


a)頻 度
インドのカルカッタの資料によると、427人中56%がインド到着4〜7日以内に、3〜5日持続する下痢をしている。そして旅行者の87%は海外旅行に必要な一般的な指導を受けてきたが、大部分の者はそれを守っていなかった。
また、北欧の人が中部ヨーロッパ諸国を観光旅行しても下痢することがある。

b)起因菌
1990〜1994年間の夏休みに、メキシコに旅行して下痢した708人の学生について調査した、テキサス大学のMatheusonたちの調査によると、エンテロトキシン産生大腸菌ETEC(Enterotoxigenic Escherichia coli)による下痢症は全体の49〜81%、平均63%を占めていた。次に多いのは赤痢菌で21%(年により28〜55%)、その他、サルモネラ菌(6%)、キャンピロバクター(3%)、エイロモナス(0〜10%)、Pleisiomonas shigelloides(3〜7%)などであった。
腸管内寄生原虫は少なく、クリプトスポリジウムとジアルジアがみられたという。

c)日本人旅行者下痢症の起因菌
日本人旅行者の場合は東南アジア、インドなどへの旅行者が多いせいか、上記起因菌のうち赤痢菌の占める割合が多い。1990〜1994年間に東京都で分離され、薬剤耐性試験に供された446株の赤痢菌のうち、75%にあたる336株は外国由来である。その中には日本国内ではほとんど見られない志賀赤痢菌などが含まれている。薬剤耐性試験では輸入株の83%が単剤ないし多剤耐性を示していた。
この事実は病原性大腸菌による下痢症と異なり、日本人旅行者の下痢症の抗生物質療法が難しい例もあることを示している。

d)原因食品
原因食品は生焼きの不十分に調理された鶏肉、ビーフステーキ、卵、生の海産物が主である。発展途上国ではその他に水道水、氷、アイスクリーム、牛乳、生チーズ、その他の乳製品、水で割った果汁、生のカキなど、とにかく加熱してないものが原因である。
病原細菌に汚染された生のカキ、鶏肉などを処理した俎の上できざまれた生野菜を食べれば、たとえカキや鶏肉はその後加熱しても病原菌感染は免れない。



代表医:大利 昌久/医療サービススタッフ:サンタンブロージュ



Copyright (C) 2005 Dr Oori.