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知られざる国内事情の舞台裏(9)
大利昌久
前 東京大学医科学研究所感染症内科
現 長崎大学熱帯医学研究所(非常勤講師)
海外邦人医療基金 (顧問) 出典:「神奈川県医師会」(2000年11月号より)
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海外からの医療相談
多くの日本人が海外で暮らすため、当然のことながら、手紙、電話、FAX、インターネットによる 医療相談の需要は高い。
色々な相談機関があるので、代表的な機関を表7に示した。海外勤務健康管理センター(労働福祉事業団)を除いては、いずれも有料である。
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表7 海外医療相談を実施している機関
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公的機関
●海外勤務健康管理センター
TEL 045-474-6001 FAX045-474-6098
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財団法人機関
●海外邦人医療基金
TEL 03-3593-1501 FAX 03-3502-1229
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医療機関による相談
●恵風会おおり医院
TEL 0465-75-0056 FAX 0465-75-1997
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企業関係
●小学館 健康ホームページ
TEL 03-3230-5687 FAX 03-3230-5911
●T-PEC
TEL 03-3839-1100 FAX 03-3839-1101
●AEAインターナショナルSOS(ジャパン)
TEL 03-3249-4255 FAX 03-3249-6141
●野口研究所「ドクターホットライン」
TEL 03-3501-0130 FAX 03-3580-2490
●ジャパンアシスト インターナショナル(株)
TEL 03-3497-8670 FAX 03-3497-8673
●(株)保健同人社
TEL 03-3234-6111 FAX 03-3284-6110
●東京海上メディカルサービス(株)「東京海上コンパス」
TEL 03-3287-2090
●(株)ジェーシービー「JCBメディカルホットライン(海外)」
東京 0422-76-1700 大阪 06-6941-7900
福岡 092-712-4450 札幌 011-271-1411
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1)公的な相談機関の実績
海外勤務健康管理センター(労働福祉事業団)では、1994年より医療相談サービスを開始中である。大科、小児科、心療内科、感染症専門医など複数の医師が対応。更に専門的な相談が必要な場合には、新横浜労災病院の先生方も参加しているので、内容は極めて充実している。
最近の資料では、1984年4月より1998年9月までの相談件数(FAXで受託)は、892件だったそうだ。年次別では、1997年に入って100件を越す数になり、1998年には200件に達している。
健康相談内容は、「感染症関係」が最も多く、次いで内科、小児科、産婦人科の順になっている。又、毎年、感染症関係の相談が増えている。
海外からは「東南アジア」からの相談が最も多く、現地での医療事情が深刻であることを物語っている。「予防接種」に関する相談も圧倒的に多く、「感染症」は、マラリア、狂犬病、デング熱、コクサッキーBウィルス感染症などの相談が多かったという。更に、「セカンドピニオン」を求める相談も多く、現地での医療不安や治療方針、検査などについて主治医とのコミュニケーションがうまくいっていない印象を受ける。更に、現地の医療紹介を求められることも多いようだ。
海外勤務健康管理センターの研究情報部の5年間のまとめは、「現状では、すべての医療相談をさばききれなくなる日もそう遠くはない観を否めない。ちなみに、1997年4月〜1998年9月までの医療相談525件の回答に要した時間数は、25,895分(431.6時間)であった」と言う。かなり急速に相談件数が増え、将来の更なるシステム化が必要かと思われる。
2)民間の相談機関
表7のように医療機関だけでなく多くの民間企業が関与している。最近では、1999年、小学館がインターネットによる「健康ホームページ」を開設。聖路加国際病院(予防医学センター)の日野原茂雄先生のご協力を得てスタート。今後、この種のサービス事業は、質の向上をはかる時代にあり、更に、需要が大幅に増えると予想される。悪い予感としては、企業内の競争が激化し、消滅する相談機関もあると思われる。
海外でも、日本人向けの医療相談事業が展開されている。中国の代表的な都市では、「ウェルビー社」が中国在住の日本人の医療相談にあたり、場合によっては、契約病院まで本人を案内するサービスも展開している。私は中国(広州)の「ウェルビー社」を訪れ、いろいろ情報を集めたが、日本人の某大学の有名教授が関与していることが分かった。米国では、「野口医学研究所」が在米日本人に便宜をはかっており、需要も多いようだ。
しかしながらほとんど極秘扱いで公表されることがないため、民間企業の実績は不明である。本誌では参考のため、15年前から「ダイアルサービス社」を中心に、電話による医療相談を受託しているので、私の医院での成績を報告する。
相談利用者数は、国内、海外から年間9〜10万件で、年々増加の傾向にある。私は、海外からの相談を竹中文良先生(日本赤十字社病院)と担当している。海外からの相談は、企業人ばかりでなく、その家族からの相談もあるので、その全貌を紹介するのも意義深いものと思われる。なお、海外からの相談はダイアルサービス社などの企業側の担当者、私、それに相談者との「トリカフォン形式」で行っている。
3)医療機関による相談(恵風会医療相談の実績)
ここでは、1996年(1996年4月1日〜1997年3月31日)までの実績を紹介する。1997年よりインターネットでアクセス可能なシステムも導入したので、相談件数が増えている。この成績については、目下集計中。
3)-1 年間の成績
1996年度(1996/4/1〜1997/3/31)の電話相談者は、新規相談が124件(44%)、再電話が160件(56%)、総計284件。表8のように、海外赴任前の相談が64件(22.5%)、海外から212件(74.6%)、帰国してからが8件(2.9%)であった。相談者は女性に多く、284件中225件(79.2%)を占めた。赴任前が50件(97.2%)、海外からが169件(79.7%)、帰国後6件(7.5%)が女性からであった。
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表8 相談者の男女比
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|
男性
|
女性
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総数
|
海外赴任前(国内)
|
14
|
43
|
2
|
海外から
|
48
|
169
|
6
|
帰国後
|
2
|
212
|
8
|
総 数
|
59
|
225
|
284
|
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表9 相談者の年齢
|
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男性
|
女性
|
総数
|
0〜19歳
|
1
|
2
|
3
|
20〜29歳
|
12
|
53
|
66
|
30〜39歳
|
23
|
154
|
177
|
40〜49歳
|
19
|
11
|
30
|
50〜
|
4
|
5
|
9
|
総 計
|
59
|
225
|
284
|
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相談者の年齢を表9に示した。男女共30最大が最も多く、男性23件(38.9%)、女性154件(68.4%)を占めた。総計で177件(62.1%)であった。次いで20代が多く、65件(22.8%)を占めた。
月別件数を表10に示した。男女総数で見ると、2月が42件(14.7%)、5月が38件(13.3%)、3月が34件(11.9%)で順に多く、1月、2月が少なかった。
海外からの相談者を国別に見ると、表11の通りで、アメリカ83件(39。1%)、イギリス34件(16%)、中国28件(13.%)、スペイン12件(5.6%)の順に多かった。
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表10 月別利用件数
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男性
|
女性
|
総数
|
4月(1996年)
|
3
|
16
|
19
|
5月
|
9
|
29
|
38
|
6月
|
7
|
24
|
31
|
7月
|
3
|
16
|
19
|
8月
|
1
|
24
|
25
|
9月
|
7
|
22
|
29
|
10月
|
5
|
9
|
14
|
11月
|
7
|
11
|
18
|
12月
|
1
|
8
|
9
|
1月(1997年)
|
2
|
21
|
6
|
2月
|
5
|
37
|
42
|
3月
|
9
|
25
|
34
|
総計
|
59
|
225
|
284
|
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表11 国別受診状況(海外からの電話)
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国 名
|
件数
|
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国 名
|
件数
|
アメリカ
|
83
|
|
シンガポール
|
5
|
イギリス
|
34
|
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スウェーデン
|
5
|
中国
|
26
|
|
ドイツ
|
4
|
スペイン
|
12
|
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台湾
|
3
|
インドネシア
|
8
|
|
タイ
|
25
|
香港
|
6
|
|
ブラジル
|
3
|
オーストラリア
|
5
|
|
ケニア
|
2
|
イタリア
|
7
|
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総数
|
212
|
フランス
|
5
|
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参考資料
海外勤務健康管理センター資料, 1999年(社会福祉事業団)
大利昌久ら:海外赴任者の医療相談システム利用状況, 1997年No3834
(日本医事新報)
代表医:大利 昌久/医療サービススタッフ:サンタンブロージュ
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