堆肥と化成肥料(化学肥料)の違いについて
 堆肥とは、植物の葉っぱや動物の糞など(家庭から出る生ごみも)を微生物の力である程度まで分解させたもので、デンプン質やタンパク質などが「窒素、リン、カリウム、そのほかの微量要素」に分解されているものとなります。ちなみに「チッ素(N)、リン酸(P)、カリ(K)」ではなくて、「窒素、リン、カリウム」です。
 堆肥に含まれる「窒素、リン、カリウム」は、まだ有機質のままのもので、さらなる微生物の分解によて、無機質の「チッ素(N)、リン酸(P)、カリ(K)」になります。堆肥というのは、野菜のためのものというよりは、野菜が育つ土壌を良くするために与えるもの、と言うこともできます。
 一方、肥料は「人間が作物を育てるために、野菜のために与えるもの」です。堆肥を土のためとすると、肥料は野菜の収穫のためのもの、と言うことができると思います。特に化成肥料(化学肥料)は化学的に合成したり、化学的に処理して人間が作ったもので、自然界にはそのままのカタチでは存在していないものです。自然には無いものだからこそ、与える量はなるべく少なくしておくに越したことはありません。
 「チッ素(N)、リン酸(P)、カリ(K)」は、肥料の主な成分として、野菜を育てる三要素と呼ばれているものです。無機質といって野菜が根などから直接摂取できるカタチのものです。三要素はそれぞれに役割が異なっていて、チッ素(N)は、野菜づくりで「葉肥え」ともよばれる要素で、野菜の葉っぱや茎を主に育てる栄養分です。リン酸(P)は、「実肥え」ともよばれる要素で、野菜の花や果実を主に育てる栄養分です。カリ(K)は、「根肥え」ともよばれる要素で、野菜の根を主に育てる栄養分です。
 堆肥は、その効果が徐々に現れるところが、化成肥料とは大きく違っています。例えば窒素のように主として有機質として含まれる成分は、微生物による更なる有機質の分解とともに野菜が直接摂取できるカタチに変化し、徐々に野菜に利用されます。堆肥を続けて与えていると、堆肥の中でも分解されにくい有機物がだんだんと土壌中に留まるようになって、野菜を植えている土の中の養分量は次第に高まっていきます。このような土への養分の累積効果は、化成肥料ではなかなか見られないものです。
 少し整理しておきます。まず、堆肥があります。これは、自然界に存在する植物の葉っぱや動物の糞を、微生物が「窒素、リン、カリウム、」などにまで分解したものです。よく「完熟堆肥」という言葉を目にしますが、これは、堆肥が完全に発酵した(完熟した)ものを言います。
 完熟されていないものを土に混ぜると、生ゴミを直接土に混ぜたのと同じ状態になってしまい、腐敗して地温があがってしまったり、ガスが発生したりして、いわゆる「根あたり・根焼け」をおこしてしまう原因にもなってしまいます。
 そして、肥料があります。肥料は、自然界に存在している有機質が少しずつ分解されて、土壌に有効な成分となって現れるものと、野菜に有効な成分の栄養素を人間が科学的に合成して作りだした人工物の「化成肥料(化学肥料)」があります。
 「有機質肥料」という言葉も、よく目にすることと思います。これは、天然のものを使って化学合成をしないで作った肥料のことです。ちなみに、有機質肥料では、野菜を育てる三要素「チッ素、リン酸、カリ」がバランスよく含まれているものは存在しません。有機質肥料の主なものとしては、油かす、骨粉、発酵鶏糞、有機石灰、などがありますが、そのどれもが自然界に存在しているものから作られているために、その栄養分に片寄りがあります。有機質肥料を使う際には、土に与える三要素のバランスを自分で調節する必要があります。
 本書に書いていある、ダンボールコンポストで作る「生ごみ堆肥」の作り方は、わりと「窒素、リン、カリウム」が、バランスよく含まれてできあがるようになっています。
 みなさんが投入した生ごみや米ぬか・鶏糞の成分や量にもよりますが、腐葉土とモミがらくん炭をもとにして作った場合、できあがった生ごみ堆肥の成分は「腐葉土以上、有機質肥料未満」と呼ぶことができると思います。
 野菜への効果もそれなりに高いものになりますので、追肥で与える他の肥料は少なめで済むようになります。
 上の画像は2009/08/14 デザインオフィス・エムのベランダのキュウリです。